「インドネシア人家族の会」のみなさま、ありがとうございました

横浜市を中心に在住インドネシア人のみなさんを支え続けてきた「インドネシア人家族の会」が、2018年4月末を以て解散しました。

「インドネシア人家族の会」の活動は30年続きました。

YOKEとの関係では、19年間にわたり多言語情報発信「よこはまyokohama」インドネシア語版の翻訳と編集を担当した他、、海外介護福祉人材支援（EPA）事業での講師、よこはま国際フェスタや多文化フェスタ等での舞踊披露や料理の販売、文化紹介などYOKEの多くの事業で協力くださいました。

5月11日（金）に、長年の活動に敬意を表し、当協会理事長岡田より「インドネシア人家族の会」へ感謝状をお渡ししました。

みなさんが助けてくれたから支援活動を始めることができました。

会の発起人である門丸　葉子さんは、30年間にわたり在住インドネシア人の支援を行ってきました。門丸さんが日本で暮らし始めた頃は、インドネシア語での情報も相談先もありません。日本で暮らすインドネシア人のみなさんの力になるべく、門丸さんの活動が始まります。

「当時は、小さな力かもしれないけれど在住するインドネシア人の役に立ちたかった。横浜国際交流ラウンジ情報コーナー（当時の名称）でインドネシア語の相談員として活動しようと思ったのですが、子どもが小さいかったので迷いました。そのような中、周りのみなさんが『保育園の送り迎えを代わりにするから、相談員をやってください』と言ってくれました。みなさんが助けてくれました。

一人では何もできませんでした」と門丸さんは当時を振り返ります。

インドネシア語での情報発信が始まったのも門丸さんの熱意によるものでした。

「当時のYOKE担当者の方と、何度も何度も交渉しました。（YOKEに）予算がないことも知っていました。なぜインドネシア語の情報が必要なのか目的を聞かれましたので、その背景や理由について説明しました」

常にインドネシア人の目線で発信を続けた情報は、在住するインドネシア人のみなさんにとって安心して読むことができるものだったに違いありません。

門丸さんが「インドネシア人家族の会」を始めてから、多くのインドネシア出身者が会に参加しました。会の活動も、インドネシア文化紹介、舞踊披露、料理の販売など広がっていきました。

メンバーの一人である吉田アイさんは門丸さんを「母や姉のような存在です」と言います。その言葉を聞いた門丸さんが笑いながら「母ではなくて、姉ね」と言うやりとりに温かい絆を感じることができました。

会が無くなっても心はひとつ

インドネシア人家族の会解散の理由と尋ねると、「時代の流れ」と「環境の変化」という2つの大きな理由が挙げられました。

「今まで、色々問題や課題にもぶつかってあきらめかけたこともあったけど、周囲のサポートを受けて30年間続けることができました。時代は変わりました。日本で暮らすインドネシア人は今まで私たちの力が必要だったかもしれないけど、今は他に助けてくれる人がいます」

会としてのサポートがなくても、個々のつながりで助け合う環境ができたとメンバーのみなさんは感じているそうです。

「これからは会がやってきたことを個々の責任でやっていきます。会は無くなりますが、いつも心はひとつです。私たちが家族であることは変わりありません。これからも時々けんかをしたりしながら支え合っていきます」

自立して生きていくことの大切さ

門丸さんのお話しにはいつも「外国人が自立して日本で生きていくことの大切さ」に関するメッセージが込められています。

「インドネシア人はご飯を食べるときに『いただきます』と言う習慣はありません。日本人にとって当り前かもしれませんが、私たちにとって『いただきます』と言うのは勇気が要ることです。でも、『いただきます』が言えるようになることで日本の生活に慣れることができる。日本語を少しでも話すことができれば、日本人の友だちができる。友だちができれば、その友だちが支えてくれる。日本語を少し話すことができれば、窓口の手続きも楽になる。自分の力で生きていくことができます」

インドネシアの情報や頼れる場所が無かった時代に会を立ち上げ、メンバーひとり一人が独自に活動できるようになるまでを見届けた門丸さん活動は、他の外国人グループやコミュニティにとって参考になることでしょう。

YOKEはこれからもみなさんとの繋がりを大切にしながら、多文化共生のまちづくりを目指していきたいと思います。

インドネシア人家族の会のみなさま、30年間ありがとうございました。

そして、これからもよろしくお願いします。